心理カウンセリングやヒプノセラピー(催眠療法)もやっている精神科医です。内科経験もあり。メンタルヘルス、人生のこと 、思索、エッセイ、旅、音楽、ギター、ひとり言 etc.  息抜きに読んで頂ければ幸いです。3.11以降は、原発関連の情報中心です。
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    バイクの旅


     心に風が吹いたとき、人は旅にいざなわれます。

     「自分が言ってきたこと。思いやり、優しさ。本当にそれができるかどうか、それを検証する旅」

     彼は今年定年退職した、元校長先生。泊まるところは決めていないので、250cc のバイクには米と味噌と予備のガソリンを積んでいます。
     昨日は二つの小学校を訪ねたそうです。高校生の頃、友人がひき逃げ事故で亡くなったことを子どもたちに話しながら、思わず涙ぐんでしまったそうです。その後犯人のアメリカ兵は、アメリカの裁判で無罪となりました。そんな現実が今も変わっていない、地元沖縄のことを伝えたい思いもあって、新聞を見せたり、ピアノを弾きながら沖縄の歌を歌ったり・・・。
     子どもたちは真剣に聞いてくれたそうです。

     彼がわが家に泊まった何日かの間、楽器の音と酒の無い日はありませんでした。ぼくの友人たちも、たくさん会いに来てくれました。毎晩遅くまでいろんな話しをし、身近な人には殆ど話さなかったことも、ふと記憶の底から溢れ出してきたり・・・。

     風に吹かれて旅する人は、いろんな人に出会いながら、いろんな風を吹き込んでくれます。それは、見知らぬ世界の情報だったり、会った事も無い人々の思いだったり、あるいは旅人自身の物語だったり。日々の生活にはない一陣の風が、出会った人々の心の中を吹き抜け、もうひとつの世界へいざなってくれます。

     古来、旅人を丁重にもてなす習慣が世界中にある、その理由がよく分かります。旅人が運んでくる風は、人生への思い、世界への憧れ、自分自身との対話・・・、私たちひとりひとりの中にも吹いている風でもあります。

     「思い出以外は何も残さないから」と言い残した彼(キザ~)と、今朝別れました。けれど、もしもそれが人生で最初で最後の出会いであるなら、人は本当に真摯に相手と向き合うのだと思います。昔の人たちはそんな風にして、旅の中で本当に人と出会い、本当に自分自身と向き合っていたに違いありません。
     
     25歳になる彼の知り合いの青年は、いまアフリカ大陸から欧州へと、自転車の一人旅を続けているそうです。彼が青年の頃、日本中をバイクで旅したように・・・。



     「月日は百代の過客にして行かふ年も又旅人也。・・・予もいづれの年よりか片雲の風にさそはれて、漂白の思ひやまず・・・」(松尾芭蕉)

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    【2010/07/02 16:27】 |
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