心理カウンセリングやヒプノセラピー(催眠療法)もやっている精神科医です。内科経験もあり。メンタルヘルス、人生のこと 、思索、エッセイ、旅、音楽、ギター、ひとり言 etc.  息抜きに読んで頂ければ幸いです。3.11以降は、原発関連の情報中心です。
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     急性熱性疾患などでは、脈拍が速くなり、体温が上昇します。
     例えば細菌感染であれば、白血球の一部が増加して、細菌を食べて破壊しようとします。全身に大量の白血球を動員するために、心拍数を増やして、血液輸送のスピードを上げます。同時に体温を上昇させて、細菌を弱らせようとします。なので、患者さんの熱計表を見れば、脈拍と体温は平行して上昇し、平行して下降します。生体防御反応が正常に作動している証拠です。

     ところが、死期が近づいた時、脈拍は上昇するのに体温は下降していきます。熱形表上では、赤線(脈拍)と青線(体温)がクロスするので、「死の十字架」(TotenKreuz)とよばれますーーー医学の世界でも死語になりつつありますが。
     生体の自然治癒力そのものが失われた状態です。白血球数は増加から反転して急激に減少していきます。生体の側の免疫システムが壊れてしまったこの段階では、いくら強力な抗生剤を投与しても、効果はありません。

     身体はその恒常性を保つ(ホメオスターシス)ために、自己免疫系や自律神経系や内分泌系を作動させて自然治癒を促します。

     当たり前のことですが、どんな高度医療を施しても死んだ人を生き返らせることはできません。生命を維持する「ホメオスターシス」という最も高度で謎に満ちた自然のシステムこそが、最大の治療資源です。様々な医療行為も、このシステム内でのみ効果を発揮します。どんな薬剤や医療機器にも替えられない価値をもっているわけです。

     当たり前過ぎることですが・・・。
     生きていること自体が最大の奇跡であるという単純な真実に、私たちは何度も立ち返るべきなのだと思います。

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    【2010/07/28 19:22】 | 思索
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