心理カウンセリングやヒプノセラピー(催眠療法)もやっている精神科医です。内科経験もあり。メンタルヘルス、人生のこと 、思索、エッセイ、旅、音楽、ギター、ひとり言 etc.  息抜きに読んで頂ければ幸いです。3.11以降は、原発関連の情報中心です。
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     友人の結婚式に出るために、飛行機で東京に着きました。
     着陸した瞬間、スチュワーデスが大きな声で「お客様の中で、医師か看護師の方はいらっしゃいませんか」、「急病の方がおられます!」と繰り返してアナウンスし始めました。
     私の前の座席の男性が素早く手を挙げたので、私も続いて手を挙げました。『専門外だけど・・・』なんて懸念もありながら、二人いればだいじょうぶかなと思いつつ。患者さんのところに行くと、同行のご家族がピルケースを広げて、「これがいつも飲んでいる薬です」と教えてくれたのは、何と全部精神科の薬です。
     『精神科で救急は滅多にないけど・・・』と思いながらご本人を見ると、20代の女性が片目を手で押さえて叫んでいます。「目の奥から耳の奥まで痛みが・・・」。
     「手をのけて、目を見せて下さい」と言うと。「いや。いま手をのけたら・・・!」と拒まれます。目が飛び出すか、血が吹き出すとでも思われたのでしょうか。
     こわごわ、手をはなすと、特に異常は見当たりません。

    私  「最初に鼓膜が痛くなりませんでしたか?」
    女性 「はい」
    私  「はじめに比べて痛みは和らいでいますか?」
    女性 「はい」
    私  「だいじょうぶですよ。すぐに良くなりますから」
    女性 「そうですか。だいじょうぶですか。」
    私  「念のために、簡単な検査だけしておかれれば安心でしょう」

     女性は徐々に落ち着きを取り戻していきました。

     家族に聞くと、こんなパニックを起こしたのは初めてとのことでした。

     じっと見守っていたほかの男性客が、後ろから「三叉神経痛でびっくりしてパニック発作起こしたんですよ。だいじょうぶ!そのまま帰っていいですよ」。そして不安がる患者さんと家族に「ぼくはどうせ羽田泊まりだから・・・」と、つきそわれました。
     飛行機から降りる間際、「先生は何科でいらっしゃいますか」と尋ねたところ、外科で救急もやっていたとのことだったので安心しました。『何で最初に手を挙げんかった!』と思わなくもありませんでしたが・・・。実は学会シーズンで、ほかにも全部で4~5人の医師らしき人たちが、最後まで様子を見守っていました。たいしたことないと思ったのか、みなさん黙って立ち去られましたが。

     けれど後から考えて、私はその年配の医師のことを『さすがだな~』と思いました。

     初めてパニック発作を経験した人に、「だいじょうぶだけど、念のために検査を」と言うと、今後再発した時に、不安感がおさまらず、すぐに病院に駆けつけることを繰り返すかも知れません。医療の世界で100%「大丈夫」なんて保証はないのですが、敢えて「だいじょうぶ!」と断言しきる医者は、ある意味立派だと思います。とりわけ心因性の症状に対しては、その一言だけで良くなったりもしますから。救急の現場には、そんな患者さんも多いので、その先生には周知の経験であったに違いありません。



     医療現場に限りません。この「だいじょうぶ」を言える人、言える環境、言える文化が、なくなってしまったように思います。

     
     とても力ある言葉だと思うのですが・・・。

     
     仏教では「安心」と言います。
     究極の意味は「死んでもだいじょうぶだよ」ということなんです。


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    【2010/11/29 15:58】 | メンタルヘルス
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    ありがとうございました
    Yoko
    >仏教では「安心」と言います。
     究極の意味は「死んでもだいじょうぶだよ」ということなんです。


    ↑読んで、この言葉を味わっていたら、涙がポロポロこぼれました。
    人って、誰かに「だいじょうぶ」って言って欲しい生き物だと思います。

    東京に来られてるんですねー。
    たかちゃん
    「大丈夫」
    私はこの言葉を、何の根拠もなく
    よく子どもに言ってしまいます。
    「大丈夫よー、なんとかなるなる!」…と…。
    事実、今までは何とかなってきましたし…。

    そう、この世で起きた事は
    基本的にこの世で解決出来る様になってるんだと、
    これまた何の根拠もなく確信しております。
    (殆ど妄想に近いですが…。)

    死んでも大丈夫なんですよ。
    全くその通りなんです。
     いつのころからか、死ぬ事は
    恐れるに足りない事だと思えるようになった気がします。
    (気がするだけで、実際に直面するとどうなるやら…)
    生まれる前に戻るだけ…。
    そう思ってます。

    でも、それだけに今生の出会いは
    やはり大切にしたいと思うのです。

    色んな意味で生かされてる私たち。
    そんなこんなを感謝しつつ………。

    あるがままに
    アポロン
    >Yoko 様
    最近、『般若心経を』を「味わって」いて、感じます。

    「そのままでいいんだよ」「あなたも、わたしもすべてあるがままでいいんだよ」「すべてが、すでに赦されているんだよ」と、そんなふうに仏様がおっしゃっているように感じます。
     
          感謝

    東京から帰りました!
    アポロン
    >たかちゃん

    先週、2日だけ東京にいました。

    「大丈夫」は、ぼくがいつも連れ合いに言われる言葉です。

    その連れ合いが、ぼくから観ると「大丈夫???」なんですけど・・・。

    「どうぞ忘れ物がありませんように!!!」と、しっかり祈って東京についたら、「ドライヤー忘れてた~」ので、急遽ホテルの理容室で・・・。

     まあ、別に来賓の一人の髪がドライヤーで固められてなくても、結婚式には何の支障もないよ!と、思うけど・・・。確かに、彼女なりには「大丈夫」なようです。



    ソニア
    ちょっとドキドキしながら読ませていただきました
    眼?!がどしたの~って!

    大した事なくてよかったですね ^^

    「だいじょうぶ」 優しく力強い言葉ですね

    その女性の病が早く癒されますように
     


    損な性格
    アポロン
    >ソニアさん

    コメントありがとうございます。

    ぼくもドキドキしながら、診察してましたけど・・・。
    あとから、何人も医者らしき人が見ていた事を、連れ合いから聞いて、なんだか一人だけ損したような気にもなり・・・。

    でも、どうしても反射的に動いてしまうんです。

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