心理カウンセリングやヒプノセラピー(催眠療法)もやっている精神科医です。内科経験もあり。メンタルヘルス、人生のこと 、思索、エッセイ、旅、音楽、ギター、ひとり言 etc.  息抜きに読んで頂ければ幸いです。3.11以降は、原発関連の情報中心です。
    上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
    新しい記事を書く事で広告が消せます。

    「…多数の日本人が戦闘員としても朝鮮戦争に参加した。米軍と日本政府はこれを否定しつづけたが…」(『朝鮮戦争と日本-日本の朝鮮戦争にたいする人的協力を中心に-』 吉岡吉典 著 1966年発行)

     戦争を放棄したはずの日本戦後史の暗部を多くの日本人は忘れようとしてきたのだが…。




     宮崎駿企画 ・脚本の映画『コクリコ坂から』を観に行った。


     主人公小松崎海(こまつざき うみ)の父は、朝鮮戦争に際し、LST(戦車揚陸艦)の乗り組み員として亡くなったという設定である。

     ドラマの舞台は1963年の日本。翌年には東京オリンピックを控え、朝鮮戦争特需後の高度経済成長まっただ中。この年の6月15日、米ビルボード誌で週間ランキング第1位を獲得した坂本九の「上を向いて歩こう」が、ドラマの中でも流される。
     海外では同年の11月22日、ベトナム戦争からの早期撤退を訴えたケネディ米大統領が暗殺され、戦争は泥沼化していく。
       
     偶然の一致だろうが、ちょうどこの年、日本で最初の原子力発電が行われたのだ。


     いづれにしても、大きな時代の転換期を背景に、甘酸っぱい青春ドラマが展開していく。


     生意気盛りの高校生たちの根城であり、文化の発信地でもある古びた部活校舎「カルチェ・ラタン」を立て替えようとする動きに反発して、やはり父を朝鮮戦争で亡くした風間俊(かざま しゅん)は怒りを込めて叫ぶ。

     「古い物を捨てていくという事は、ぼくたちの記憶も捨てていくという事なんだよ!」(うろ覚えなので正確ではありません)



         その言葉がいまの私・たちの胸に突き刺さる。



     もちろん宮崎駿氏は3.11以前から、この映画製作にとりかかっているのだが…。

     

     良い事も悪い事も、次から次へと忘却して来た私・たち日本人の「文化」、否、「偽文化」の行き着いた果てが、3.11 だったのかと思うと、情けない気持ちになった。
     戦争のこと、原爆のこと、闇に葬り去られた無数の死者たちのこと。わが祖先たちが生きた時空をも、容赦なく切り捨て、故郷や自然を破壊しながら、巨大建築や高速機関や大空港を作り、無駄ともいえる膨大なエネルギーを貪り続けて来た歴史。

     嘘と虚栄と自己欺瞞の上に作られて来たものが、その内実にふさわしい形でいま崩壊し始めたのかもしれない。 

     
     私・たち大人は、原発もろとも消え失せても仕方がないのかも知れない。
     
     「文化」が、世代を通して伝えられていくものであるとするならば、私・たちの過ちをこそ、生まれ来る子どもたちに語らなければならないのだろう。
     私・たちのような生き方は、決してあなたたちを幸福にはしないのだと。


     宮崎駿の作品は、何故かいつも時代の行く先を読んでしまっているようで驚かされる。



     
    スポンサーサイト

    【2011/08/02 23:42】 | 映画
    トラックバック(0) |
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。