心理カウンセリングやヒプノセラピー(催眠療法)もやっている精神科医です。内科経験もあり。メンタルヘルス、人生のこと 、思索、エッセイ、旅、音楽、ギター、ひとり言 etc.  息抜きに読んで頂ければ幸いです。3.11以降は、原発関連の情報中心です。
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    Health Effects of Chernobyl


    「チェルノブイリ事故の人体への影響」~ 事故後25年

    核戦争防止国際医師会議(IPPNW) ー ドイツ支部
    2011年4月


    概要

    本論文は、チェルノブイリ大災害に起因する健康被害に関する蓋然性の高い指摘を含む研究を評価する。著者らは方法論的に厳密で理解可能な分析を厳選することに重要性をおいている。既に言及されている通り方法論的な困難がある故に、明らかに誤っているIAEAの統計資料に対比して、「正しい」統計資料を提示することは、我々の目的ではない。というのも、それ(「正しい」統計資料)は決して見いだされ得ないからである。それらの研究は、チェルノブイリでの健康への影響について我々が語る時に、我々が対処すべき健康への影響の多様性と広がりに応じた目安を我々に与えるのみである。

    チェルノブイリ事故によって顕著に放射線を浴びた人口
    a.  除染労働者(リクイダトール):
       830,000 (ヤブロコフ 2010) 
    b. 30km 圏内の避難者と他の高濃度汚染地域:
       350,400 (ヤブロコフ 2010)
    c. ロシア、ベラウーし、ウクライナで著しく被曝した人口:
       8,300,000 (ヤブロコフ 2010)  
    d. 軽度の放射線被曝を受けたヨーロッパの地域の人口:
       600,000,000 (フェアリー 2007) 

    チェルノブイリ事故によって更なる放射線被曝を受けた結果としての疾患/健康被害
    a. 癌。ただし、多くの癌の潜伏期間は25-30年である事が記されるべきである。現在我々は、人口の中で甲状腺癌、乳癌、脳腫瘍のみを観察している。
    b.  遺伝的変化:奇形、死産、不妊症
    c. 非癌疾患:多くの器官が影響を受け得る;脳障害;老化現象の加速;心理的障害

    結果の要約
    1. 低線量放射線(0ー500 mSv)による影響が系統的に測定され、調査された。チェルノブイリ以前の遺伝的影響については不明確であった。この調査は細胞内の分子構造だけでなく、細胞についての探索も追加されてきている。この事にも関わらずICRPは催奇物質被害に関して100mSvの線量限界を提示し続けている。

    2.  ゲノムの不安定性や間接影響(巻き添え効果)(bystander effect)のような標的外効果(non-targeted effect)ーー例えば直接的な放射能の影響によらない細胞内のゲノムの変化ーーが見いだされた。

    3. 放射線レベルが低い程、癌のアウトブレークまでの期間は長くなる。(早くも2000年にピアスとプレストンによってRERF研究の中で確立された。)

    4. ゲノムの不安定性は遺伝子内で引き継がれ、また各世代で指数関数的に増加する。除染労働者と被曝しなかった母親(を両親にもつ)の子どもたちにおける染色体異常を示す多数の調査結果は、被災した全3共和国(モスクワ、ミンスク、キエフ)の調査センターから入手できる。累積効果の最初の兆候は放射能被曝した両親の子どもたちの甲状腺癌の症例である。ただし、これはまだ確かではない。

    5. 非癌疾患の発生率が増加したことが示された。主に心臓血管系と胃の疾患。そして低線量放射線の身体的影響としての神経心理的疾病の症例。後者の症例は主に除染労働者とその子どもたちの調査の中で観察された。

    6. ロシアの権威筋の示す数字によれば、除染労働者の90%以上は障害者になった。即ち、少なくとも740,000人の除染労働者は重症疾患である。彼らは早く老化し、平均以上に高率で、様々な形の癌や、白血病や身体的疾患や神経・精神医学的疾患に罹っている。白内障は非常に多数。長い潜伏期間故に、癌の著名な増加は、来るべき年に予測されるだろう。

    7. それぞれの独立した研究が、112,000人から125,000人の除染労働者が2005年までに亡くなる事を推計している。

    8. 有効な諸研究によれば、チェルノブイリ事故の結果としての幼児の死亡数は約5000人になると見積もられている。 

    9. 遺伝的かつ催奇的損傷(奇形)は直接被災した三ヶ国だけでなく、欧州の多くの国々でも、有意に高まってきている。バイエルン州(ドイツ)だけでも、1000人から3000人の過剰な出生時奇形が、チェルノブイリ以降見いだされている。欧州において10,000人以上の著明な異常が放射能によって引き起こされているものと推測される。西ヨーロッパにおいて、チェルノブイリ事故による流産(妊娠中絶)が100,000から200,000あったことを、IAEAでさえ結論づけるに至ったが、報告されていない症例の推計値はさらに高い。

    10. UNSCEARによると、チェルノブイリの地域では12,000から83,000人の子どもが、先天性奇形をもって生まれ、世界中では30,000から207,000人の子どもが遺伝的損傷を受けて生まれた。予測され得る損傷全体のわずか10%が、最初の世代で見いだされ得る。

    11. ヨーロッパにおいて、チェルノブイリ後遺症として、死産と奇形の出現頻度の増加のみならず、胎児の男女比の偏位も存在した。1986年以降、女児の出生は有意に少なかった。

    Kristina Voigt の論文や Hagen Scherb は 1968年以降、チェルノブイリの余波によって、ヨーロッパでの子供たちの出生数は期待値よりも約80万人少なくなったことを示した。Scherb は論文が全ての国々をカバーしてないので、チェルノブイリ以降「失われた」子供たちの総数は約100万人のぼるかも知れないと見積もった。同様の効果は地上核実験後にも観察された。

    12. ベラルーシだけで12,000 人以上の人々が、事故の後甲状腺がんを発症した(Pavel Bespaldhuk,2007)。WHOの予想によれば、ベラルーシにおいてゴメリ地区だけでも50,000人の子供が生涯の間に甲状腺がんを発症するだろう。もし全年齢層を一緒に追加すれば約100,000例の甲状腺がんがゴメリ地区で計算されなければならない。

    13. ベラルーシとウクライナにおいて観察された甲状腺がんの症例に基づいて、マルコ(2007)は予測される将来の症例数を計算し、さらに放射能の要因を加算した。結果、1986年から2056年の間に92,627症例という数字に達した。この計算には除染労働者の症例は含まれていない。

    14. チェルノブイリ後のスエーデン、フィンランド、ノルウェーにおける乳児死亡率は、1976年から2006年までの期間における動向と比較して、有意に15.8%の増加を示した。Alfred Körblein は1987年から1992年までの期間にさらに1,209例(95%信頼区間:875から1,556)の乳児が死亡していた事を計算した。

    15. ドイツではチェルノブイリ後の9ヶ月間に21トリソミーを持つ新生児が、有意に増加したことを科学者らが発見した。この動向は西ベルリンと南ドイツで特に著しかった。

    16. OrlovとShaverskyは、ウクライナの3歳未満の子供たちの188例に及ぶ脳腫瘍を報告した。チェルノブイリ以前(1981~1985)には9例が数えられるが、1年に2人にも満たなかった。1986~2002年の間に、脳腫瘍と診断された子供たちは179人にのぼり、1年に10人以上となった。

    17. 南ドイツのさらに汚染された地域では、非常に稀なタイプの腫瘍のかなり大きな集団が子供たちの間に発見された。いわゆる神経芽細胞腫である。

    18. ウクライナのチェルノブイリ省が出した論文は、内分泌系疾患の症例の増加(1987年から1992年で25倍)、神経系(6倍)、循環器系(44倍)、消化器系(60倍)、皮膚と皮下組織(50倍増)、筋肉・骨格系と心理的障害(53倍)を公表した。避難者の中の健康な人の人数は1987年から1996年で、59%から18%に落ち込んみ、とりわけ衝撃的なことに、自らはチェルノブイリの死の灰の影響を直接は受けていないが、両親が高濃度放射線に暴露された子供たちでは、1996年には、健康な子供の人数は81%から30%に落ち込んだ。

    19. 1型糖尿病(インスリン依存性糖尿病)が、子供と青年の間で急激に増加していることが、ここ数年報告されている。

    20. 非がん性疾患は白血病とがんの劇的な症例よりもずっと数が多い。

    今日まで、残念なことにチェルノブイリ地域において被曝した人々全体の健康状態の変化に関する確実な概観は存在していないし、北半球の人々における大災害の概観の欠落は言うまでもない。ここに参照される数字は一方でひどく高いかも知れないし、他方では寧ろ低いかもしれない。しかし、照合される殆ど全ての研究が、比較的小さな人口群を扱ったことは、考慮されるべきである。たとえわずかな疾病率の変化でさえ、それがより大きな人口群への推定になれば、深刻な健康障害とより大きな人間の被害の前兆となり得るからだ。



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    みんなで考える原発講座 5 :「放射能と健康被害」
    講師:豊福正人さん(医師)
    コーディネーター:清水功也
    主催:原発知っちょる会
    日時:2012年2月18日 土曜日
          14:00~16:00
    会場:イイヅカコミュニティーセンター 3階 301号室
    託児:あり 事前予約制(前々日までにご連絡下さい)
              0948-22-1794(山口)
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    【2012/02/15 15:45】 | 原発
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