心理カウンセリングやヒプノセラピー(催眠療法)もやっている精神科医です。内科経験もあり。メンタルヘルス、人生のこと 、思索、エッセイ、旅、音楽、ギター、ひとり言 etc.  息抜きに読んで頂ければ幸いです。3.11以降は、原発関連の情報中心です。
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     先日は松竹喜劇を観に行きました。

     多分30年来。しかもテレビ中継でなく、生で観るのは生まれて初めて。
     亡き藤山寛美さんの愛娘、藤山直美さんが主演です。

     和服で観に行こう!と、みんなで企み、準備もしていたのですが、無念にも朝から雨。それでも二人の女性は和服姿で劇場に。

     民間で唯一、廻り舞台を備え、全国の大衆演劇の一座にとっては、天然記念物か国宝のような「芝居小屋」。それがわが筑豊にある「嘉穂劇場」です。


     戦前から戦後、日本のエネルギー需要を支えて来た筑豊炭田。40年程前には、小学校の1学年13クラス位(1クラス40~50名)があたりまえ。首都東京の人口密度をはるかに超えていました。

     当時の観客は炭鉱労働者とその家族が中心で、大衆演劇や歌手の公演などで賑わっていたそうで、1962年には年間のべ266日の公演数を誇っていたといいます。

     炭鉱の閉山後、多数の失業者が発生し、人口の流出が急激に進んだのですが、この劇場は健在。
     
     2003年の大水害の折には、劇場復旧チャリティーイベントに大物芸能人、歌舞伎役者たちが駆けつけました。「役者」にとっては、独特の存在感のある「小屋」なのです。


     未だに、当時のままの観劇作法が残されています。
     玄関でビニール袋を手渡され、靴や傘はそれに入れて自ら持ち運びます。食事する場合は前もって弁当を予約して、開演前までに食べなければなりません。殆どが指定席ですが、一人当たり座布団一枚の広さに座ります。枡席では4人が同席。そこに正座か、あぐら。桟敷席のごく一部だけがパイプ椅子です。

     開演前から、客同士がいろんな工夫の末に定位置を確保します。私たちの前列のお二人は高齢で正座が難しく、膝を曲げられません。そこで4人分の面積を上手に割り振りして、脚が伸ばせる様に場所取りを調整します。ここから既に「芝居」は始まっています。「共感」は舞台と観客の間だけではありません。観客一人一人の間にも「共感」が無ければ、「芝居」の醍醐味は味わえません。

     近代的劇場で、個々に分離した客が、舞台の演劇集団と「共感」するのとは異なります。「感じ方はそれぞれの個性」という近代芸術の前提など、大衆演劇には通用しません。

     みんなが同じ世界の中でどよめき、嘆き、涙し、大笑いします。
     そのように脚本も書かれています。誰でも怒る、誰でも悲しむ、誰でも喜ぶ、誰でも笑う。そんな喜怒哀楽の基本中の基本を、極めてシンプルかつ大げさに誇張して、物語が進展します。

     役者が台詞を言う前に、客が同じ言葉を呟いています。単純で分かり易過ぎると、批判するのは簡単ですが、「客」はそこにこそひかれて、何度でも同じ演題を観に行きます。
     
     現代演劇とそれ以前の大衆演劇の大きな違い。それは語り始めるとあまりにも大きなテーマになるので省きます。



     さて。私たちの現実はどうでしょう。
     3.11以降、リアルな「現代演劇」は恐らく全て、世界的規模で終演してしまいました。
     
     危険で恐ろしい「核」が、「安全」で「きれい」な存在であるという、「科学」にもそのレトリックのお先棒を担がせて数十年。私たちは、見事な「集団催眠」、「集団洗脳」、「集団ヒステリー」に陥れられて来たわけです。


     3.11以降、あなたは「大衆演劇」のような世界にいるのかも知れません。
     

     東電のウソは余りにも酷すぎます。政府の不作為は余りにも非道です。御用学者のデマはあまりにも滑稽です。被災地で起こり、かつ今後起こりえる事態は余りにも悲惨です。

     舞台の脚本以上に明白な「物語」が目の前で進んでいるのに…。寧ろ一致団結、「共感」し会えていないのは、私たち「観客」の方かも知れません。





     「関東に住む私たちよりも、遠くの人たちの方が、放射能のことを心配している」と、若い女性の友人から聞きました。彼女は、毎日「午前様」で、放射能のことよりも、日々の業務に疲弊していて、過労死や過労自殺してもおかしくないような状況にいました。

     汚染の高い地域では、避難するか否か、マスクをするかどうか、洗濯物を外に干すかどうかなどという以前に、日々の生活そのものがままならなない状況が未だにあります。

     「確かに放射能は恐い。けれど日本経済の為には原発は必要」という若い男性の友人もいます。



     「共感」を阻むこの温度差を何とかしなければ…。




     ぼくはいま真剣に、松竹や吉本の喜劇作家たちに思いを馳せています。

     悲劇は誰にでも書けます。悲劇を演じる事も容易です。何故ならば、「この世」も「人生」も、基本的には「悲劇的」に構成されているからです。

     悲劇的なこの世界と人生のなかで、「喜劇」を感じ、演じられる人は、類い稀な天才、もしくは極めて霊的レベルの高い人とさえ思えます。


     みんなからは一番愚かで無智で「役立たず」と思われていた人物が、大活躍して世界をひっくり返し、本来の人間的な有り様に修正していく。そんな「トリックスター」的存在は、いわば藤山寛美の当たり役であり、十八番(おはこ)でもありました。

     芸術そのものが世界を変えるのではないにしても、世界の変化の予兆を感受し、誰よりも早く表現する。その能力は、数々の「近未来」作品を観返せば歴然として、あたかも3.11を予見したかの様な作品さえ多数あります。

     そんな「現代芸術」でなくてもいいから、本物の「大衆芸術」が大活躍すべき時代なのだと、つくづく思います。

     
     もちろん、あなたや僕や一人一人が出演者なのです! 



    【2011/11/13 15:52】 | お笑い
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    初めまして♪
    ゴンマーサ
    嘉穂劇場ですか。一度行ってみたいなとは思っていますが、地元福岡の大衆演劇も観たことがなくて...。クルマで前を素通りしますが、花が飾られ、人がたむろ?していて、いつも賑わっているんです。そこに何か別世界があるような不思議な感覚になります(笑)
    原発では、おっしゃるような「共感」を阻む温度差は私もいつも感じます。こないだ東京に行く機会がありましたが、福島の影響が大きい首都東京でさえマスクをしている人は皆無です。日常は見た感じ通常通りで平穏そのものでした。
    で、コミュニティの力だけでこの状況を一変させることは不可能でしょうが、それでも市民が粘り強く繋がり続けて温度差を少しでも縮めていきましょう!
    長くなりました。すみません。あ、Twitterフォローさせていただいてます。こちらもよろしくお願いします。


    -
    ゴンマーサ様>

    コメントありがとうございました。
    いろいろ頑張っていらっしゃるのですね。

    >「何か別世界があるような不思議な感覚」
    そうですね。劇場に行くと、突然タイムマシンで過去に戻ったような感覚になります。


    そんな「劇的空間」がある事はとても大切な気がします。
    これから、いままでに経験しなかった新しい感覚を肌で感じながら、『終わってしまった日常を生きろ』!でやっていこうと思います。

    Twitterでもフォローさせて頂いてます。
    宜しくお願いします。



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    初めまして♪
    嘉穂劇場ですか。一度行ってみたいなとは思っていますが、地元福岡の大衆演劇も観たことがなくて...。クルマで前を素通りしますが、花が飾られ、人がたむろ?していて、いつも賑わっているんです。そこに何か別世界があるような不思議な感覚になります(笑)
    原発では、おっしゃるような「共感」を阻む温度差は私もいつも感じます。こないだ東京に行く機会がありましたが、福島の影響が大きい首都東京でさえマスクをしている人は皆無です。日常は見た感じ通常通りで平穏そのものでした。
    で、コミュニティの力だけでこの状況を一変させることは不可能でしょうが、それでも市民が粘り強く繋がり続けて温度差を少しでも縮めていきましょう!
    長くなりました。すみません。あ、Twitterフォローさせていただいてます。こちらもよろしくお願いします。
    2011/11/19(Sat) 22:14 | URL  | ゴンマーサ #PgvBK74o[ 編集]
    ゴンマーサ様>

    コメントありがとうございました。
    いろいろ頑張っていらっしゃるのですね。

    >「何か別世界があるような不思議な感覚」
    そうですね。劇場に行くと、突然タイムマシンで過去に戻ったような感覚になります。


    そんな「劇的空間」がある事はとても大切な気がします。
    これから、いままでに経験しなかった新しい感覚を肌で感じながら、『終わってしまった日常を生きろ』!でやっていこうと思います。

    Twitterでもフォローさせて頂いてます。
    宜しくお願いします。

    2011/11/23(Wed) 19:25 | URL  |  #-[ 編集]
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