心理カウンセリングやヒプノセラピー(催眠療法)もやっている精神科医です。内科経験もあり。メンタルヘルス、人生のこと 、思索、エッセイ、旅、音楽、ギター、ひとり言 etc.  息抜きに読んで頂ければ幸いです。3.11以降は、原発関連の情報中心です。
    上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
    新しい記事を書く事で広告が消せます。

     それまでの女性解放運動の流れとは、どこか異質な「ジェンダーフリー」論に、実は大きな落とし穴があると思っています。差別の内実を等閑視した、形式主義の浅薄さを感じます。


     例えばこういう人もいます。「助産師」とは呼ばれたくない、「助産婦」もしくは「産婆」と呼んで欲しい、と。

     出産、分娩という、女性の自然な営みを、日本に限らず、女性自らが自己管理してきた長い歴史の中で、突然西洋近代医学が入り込んできて、男性医師の不自然な発想で、分娩台などができたわけです。
     分娩台に載せられて仰向けで出産するというのは、危険な出産に際して、唯一医者が診察、操作し易いように考え出された、極めて特殊な方法ですが、一部の助産師や医者や女性は、そういう歴史も知らず、それが本来の自然な形なのだと思い込まされています。

     高度な自然分娩の技術と伝統を継承し続けてきた日本の「産婆」(女)の立場からすれば、陣痛促進剤や無痛分娩や帝王切開に安易に頼る病院での「人工分娩」や、医者に従属させられる「助産師」の仕事と同一視されるのは、とても心外なことに違いありません。



     話はそれますが・・・。

     少し似たような違和感を感じるのは、病院で「患者様」と呼ばれるようになったことです。良し悪しはともかく、それならいっそう学校でも「生徒様」、施設では「障害者様」。裁判所では「被告様」、「原告様」、警察では「容疑者様」と呼ぶようにしては、と。論理的に考えれば、そうなってしまいます。
     
     例えば「病人様」の奇妙さは殆どの人が感じると思いますが、「患者様」には、呼ぶ方も呼ばれる方も、みんな抵抗感が無くなってきたようです。

     「○○様」と個人名で呼ばれるのはいいのですが、「患者様」と呼ばれると、何だか、営業の接遇マニュアル通りに「お客様」と呼ばれているような気持ち悪さを、私なんかは感じてしまいます。事実、厚生労働省が「様づけ」発令(2001年)してから「患者様」の医療費負担は1割から2割、3割と増えていったので、「ああこの『値上げ』を『お客様』に納得して頂くための政策か」と、勘ぐってしまいます。

     その直後から実際に、多くの病院は企業向けに顧客接遇を指導する講師などを呼んで、現場職員に講習を受けさせたりしてきました。
     つまり接客業、サービス業の発想を援用している訳です。医療の中身が変わらず、呼び方だけ変えられると、いかにも軽佻浮薄に聞こえます。まるで、「あなたサマは大事な金づるサマですから」と、言われているように聞こえます。

     それ以前に、「患者様」は明らかに日本語の用法としておかしいのですが、一体誰が思いついたのか、この奇妙な日本語は・・・。
     そして実際に「患者様」という言葉の使用を取りやめる病院もたくさん出てきました。医療の内実と、医療現場での医者やスタッフと患者との信頼関係そのものこそが、本質的で第一義的な問題であるという、当たり前の発想からです。

     
     ことほど左様に、「ジェンダー」(社会的に形成された性役割に関する通念)云々についても、その問題の本質は何なのかということから、もっと根源的に問うべきなのだと思うのです。



    【2010/10/16 23:28】 | 社会
    トラックバック(0) |


    たかちゃん
    こんなに奥深いお話に、浅ーいコメントで
    すみません。

    「患者様」は確かに気持ち悪いですが、
    かといって「患者!」と居丈高に言われるのもいい気持ちはしません。
    たぶん、「患者さん」という至ってソフトな呼び方があるにも係らず、色んな事に対してマニュアル化を押し進め、「サービス」に差が出ない様にした結果じゃないかと、私個人は思ってます。

    そのいい例がマックやコンビニなんかで、子どもの客に対しても、「またどうぞお越し下さいませ」とか言う、あのココロの籠ってない言葉に、ヒジョーに
    ムカツクんであります。

    「また来てねー、バイバーイ」じゃ、あかんの????

    均質化
    アポロン
    >たかちゃん
    もともと、医者が威張りくさって、ドクハラが当たり前の風潮があったのも、大きな要因です。で、それにしても「患者様」は気持ち悪いという、アンケート結果に、もともとの「患者さん」に改めた病院も多いようです。
    マックにかぎらず、サービス業全般にそうなのでしょうね、無機質なマニュアル化。新幹線のプラットホームがどこも同じみたいに。

    「人権が、差別が」なんていう建前よりも、画一化した方が経済効率がいいからじゃないのかなあと、思ってしまいます。
    画一化、マニュアル化すれば、新入社員や職員教育も簡単。余計なことを現場で考える必要もなくなるわけで・・・。

    知りませんでした。マックもかぁ~~~。

    コメントを閉じる▲
    コメント
    この記事へのコメント
    こんなに奥深いお話に、浅ーいコメントで
    すみません。

    「患者様」は確かに気持ち悪いですが、
    かといって「患者!」と居丈高に言われるのもいい気持ちはしません。
    たぶん、「患者さん」という至ってソフトな呼び方があるにも係らず、色んな事に対してマニュアル化を押し進め、「サービス」に差が出ない様にした結果じゃないかと、私個人は思ってます。

    そのいい例がマックやコンビニなんかで、子どもの客に対しても、「またどうぞお越し下さいませ」とか言う、あのココロの籠ってない言葉に、ヒジョーに
    ムカツクんであります。

    「また来てねー、バイバーイ」じゃ、あかんの????
    2010/10/18(Mon) 23:19 | URL  | たかちゃん #-[ 編集]
    均質化
    >たかちゃん
    もともと、医者が威張りくさって、ドクハラが当たり前の風潮があったのも、大きな要因です。で、それにしても「患者様」は気持ち悪いという、アンケート結果に、もともとの「患者さん」に改めた病院も多いようです。
    マックにかぎらず、サービス業全般にそうなのでしょうね、無機質なマニュアル化。新幹線のプラットホームがどこも同じみたいに。

    「人権が、差別が」なんていう建前よりも、画一化した方が経済効率がいいからじゃないのかなあと、思ってしまいます。
    画一化、マニュアル化すれば、新入社員や職員教育も簡単。余計なことを現場で考える必要もなくなるわけで・・・。

    知りませんでした。マックもかぁ~~~。
    2010/10/19(Tue) 07:49 | URL  | アポロン #-[ 編集]
    コメントを投稿
    URL:

    Pass:
    秘密: 管理者にだけ表示を許可
     
    トラックバック
    この記事のトラックバックURL
    この記事へのトラックバック
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。